読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

同期岡くんと朝チュン

 

 

同期岡くんとの出会い~自宅への連れ込みはこちらから。

 

http://mimimi66b.hatenablog.jp/entry/2016/03/29/212804 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目覚ましのアラームが鳴らない朝、自然と目が覚める土曜日。カーテンを閉めていても、明るい部屋は見慣れた景色で。

徐々に覚醒していく意識の中、ふと、隣を見ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同期岡くんが隣で寝ています。

 

 

裸で。

 

 

 

 

起き抜けの頭で必死に思い出そうとすればするほど、恥ずかしい記憶(勢いに任せて家に招き入れたこととか、初めて見た余裕のない男っぽい表情とか、それでも触れてくる手は優しいこととか)ばかりが蘇って悶えるばかり。

 

 

 

 

『(・・・シちゃったんだよね、だいちゃんと・・・あーぁう、どうしよう、いや、どうしようもなにももう終わってるけど・・・)』

 

 

 

 

一人であたふたしていると、んん・・・と同期岡くんが唸る声が聞こえた。

慌てて背中を向けて、この煩い心臓を落ち着ける為に寝た振りを決め込むことにした。

だって、そんな、どんな顔してればいいか分からないから。

 

 

 

 

空気で同期岡くんが起きたのが分かる、布擦れの音だけが自棄に耳に纏わり付く。

お願いだから、少しだけでいいから、起きてることに気付かないで。気付いても、そっとしておいて。

 

 

 

 

そんな願いもむなしく、同期岡くんは掠れた声で呟く。

 

 

 

 

「・・・起きてるんでしょ、」

 

 

 

 

驚きで動けないあたしの肩に、同期岡くんの手がそっと触れる。掌から素肌へ直に伝わる高い体温のせいで、落ち着いた筈の心拍数が上がるのを感じた。

 

 

きっとこれ以上狸寝入りを決めた所で、遅かれ早かれバレてしまう。

諦めてもう一度同期岡くんの方へ向き直る。が、視界に飛び込んできた予想外の光景にあたしは目を丸くしてしまう。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

枕元に正座をし、頬を赤く染めて、気まずそうに視線を逸らす、同期岡くん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故だ。

 

何故お前が顔を赤くしている。 

 

 

 

 

 

『・・・違うじゃん』 

「・・・なにが」

『そこは余裕のある笑顔で「おはよ、」って囁いてくれるのがセオリーでしょ!?なんでだいちゃんが真っ赤になってんの!?』

「はぁ!?知らねぇよそんなの!俺だって恥ずかしいわこんなベタな朝チュン!」

『昨日の強引な雄っぽさはどこへ行った!?!押し倒して「やだって言っても、やめないから」って言ったあの有岡大貴はどこへ行った!!?』

 「っやめろやめろぉ!蒸し返すな!今なら羞恥で死ねる!」

『あんなにかっこ、よかった、のに、・・・・・・』

「いや思い出して恥ずかしがんなよ!」

 

 

 

 

寝起きのテンションとは思えない程、饒舌なバトルを繰り広げてお互い枕に倒れ込む。まくし立ててしまったせいで息が上がる。

 

同期岡くんも同じようで、はあ、と息をついてからこっちを見て笑う。つられてあたしも笑ってしまう。

なんで朝からこんな事に・・・と思うのと同時に、まだ軽口を叩けることに安心した。

 

 

 

 

少し落ち着いた所で、ふと、昨日の事が過ぎる。

 

 

同期岡くんは、告白されてて、付き合うかもしれなくて、でもまだ返事はしてなくて、あたしは、告白されてないのに、エッチして、その後は?

 

 

 

 

ツキン、と胸に鈍い痛みが走って、思考は最悪のパターンばかりを想像させる。

 

同期岡くんはそんな最低な事はしないって、分かっているけど、真意が聞けてない今は、その可能性だって半々なのだ。

 

 

 

油断すれば涙が溢れそうで、唇を噛み締めて堪える。こんな情けない顔は見られたくない、枕に突っ伏してやり過ごす。

 

沈黙は一分もなかったかもしれない。それでも、あたしには何十分にも何時間にも感じられるくらいだった。

 

 

 

 

グッ、と距離を詰められた気配がして思わず顔を上げると、覗き込むようにこっちを見る同期岡くんと目が合う。

 

 

 

黒目がちな目がゆるり、と細まって、優しく笑いかける。あたしの大好きな、同期岡くんの笑顔だった。

 

 

ぽんぽん、と何度か頭を撫でて、決心したかのようにゆっくりと話し出す。

 

 

 

「俺さ、ちゃんと断るよ」

 

 

 

 

何を、なんて聞かなくてもわかった。

 

やだなぁ、ずっと一緒に居たから、分かってしまうだなんて。

 

 

 

 

「怖かったんだ。この関係が崩れること。だから、試すような事言っちゃった。ほんとに、ごめん」

 

 

 

 

でもさ、ずっとお預け食らってたんだから、これくらい許して?、と呟いた顔は少しだけ拗ねたような表情で。

 

あぁ、そんな顔させてしまってごめんなさい。

 

 

 

そっ、と擦り寄る。ぴったりとくっついて、感じる速い鼓動はきっと、あたしだけのものではない。

 

 

 

さっきよりも幾分か明るくなった窓の向こう。柔らかな陽がカーテンを透かして、ほんのりと部屋を色付ける頃。

 

 

 

 

すれ違いながら、ようやくたどり着いた答えに二人で笑い合うのだ。

 

 

 

 

「俺と、付き合ってください。」